女子レスリング53キロ級の藤波朱理選手(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 コロナ禍の影響で開催が1年繰り下げられた東京五輪から2年が過ぎようとしている。そうなれば1年後はあっという間にパリで五輪だ。

 そのパリ五輪で日本人選手の活躍が予想される種目のひとつが女子レスリングだ。中でも注目されているのが現在19歳で日体大2年の藤波朱理(あかり)選手(53キロ級)だろう。21年10月にノルウエーのオスロで開催された世界選手権では、初出場にもかかわらず、4試合すべてフォール勝ちでしかも失点は0という完璧な試合で優勝を果たした。

「公式戦119連勝」で吉田沙保里に並んだ藤波朱理

 17歳10カ月での優勝は世界選手権史上2番目の若さというが、実は藤波は中学2年生の9月からこれまで一度も負けていない。今年4月のカザフスタンで開催されたアジア選手権でも無敵の勝利を続けて優勝し、自身の公式戦連勝記録を119まで伸ばしている。そしてこの記録は、あの「霊長類最強女王」吉田沙保里と並ぶ大記録なのである。

 ただし吉田は「個人戦」に限定すれば、「206連勝」の途方もない記録を打ち立てている。連勝が119でストップしたのは、女子ワールドカップの団体戦で判定負けを喫したからだ。ちなみに五輪4連覇の伊調馨の連勝記録は189、吉田には及ばないがやはり途方もない記録である。

 こうなってくると、気になるのは藤波がどれだけ連勝記録を伸ばせるか、そして吉田沙保里の「206連勝」にどれだけ迫れるか、である。