当の藤波は、アジア選手権優勝後のインタビューで以下の様に述べた。

「自分の一番のいまの目標はパリオリンピックで優勝することであって、そのためにも(五輪選手選考につながる)6月(の明治杯全日本選抜レスリング選手権大会)に勝つというのが、自分の中の一番の近い目標であって。その試合につながる大会にしようと思っていて…。

 自分は低いタックルが得意なんですけれどもこの大会ではそれをなるべく使わずに、いま練習している組手の腕取りだったりガブリだったりカウンターだったりをたくさん試そうと思ってた大会だったんですけど、それも生かせたところもあって。これからビデオを見てしっかり反省していきたいなという思いです。

(119連勝を達成したが)吉田沙保里選手は本当に雲の上の存在で、全然自分なんかは程遠いんですけど。連勝記録ということで、自分には関係ないとは思っているんですけど、そう言っていただけるのは光栄なことなので。でも自分は気にせず、強くなることだけを意識してこれからも頑張っていきたいと思います」

 連勝記録にはこだわらず、ひたすら「強くなること」に集中しようというストイックさがうかがえる。

同級には東京五輪金メダリストの志土地真優

 藤波朱理は2003年、三重県四日市市に生まれた。父親の俊一さんがソウル五輪のレスリング候補選手だったこともあり、兄と一緒に子供の時からレスリングに夢中になっていた。そういえば吉田沙保里も三重県津市(合併後)の出身であるから三重県はレスリングが強い選手を輩出する土壌があるのだろう。

 高校は俊一さんがレスリング部監督を務めていた県立いなべ総合学園へ進み、ここでもインターハイで連勝を飾っている。そして大学は父親も研鑽を積んだ日体大へと進んだ。それを機に父親の俊一さんも日体大のコーチに転身、親子二人三脚でパリ五輪金メダル獲得を目指している。