(写真:アフロ)

 選挙における投票は国民の権利の行使であり、民主主義の根幹を司る重要な行為である。したがって、もちろん不正は厳しくチェックされている――はずと思いきや、どうやらそうでもないようだ。

 以下は大阪市内の有権者が経験した4月に行われた投一地方戦での経験談だ。

期日前投票をしてみて感じた違和感

「この前の統一地方選の直前、区役所の近くに用事があったので、ついでに期日前投票をしようと投票所に行ったら入場券を忘れていたのに気が付いたんです。家まで戻るのも面倒だし時間もかかるので、念のために係員の女性に『入場券を忘れてきたので投票はできませんよね』と尋ねたら、『住所とお名前と生年月日、そして自分を証明するものを持っていますか』と言われたんです。でもそのとき、身分証明書も持っていなかった。それで『身分証明書も忘れたんですけど』って言ったら『それでも、大丈夫ですよ』って言うんです。びっくりしたけど実際にそれで投票できたんですよ」

「えっ? 身分証明書を提示しないでも大丈夫だったの?」

 私の知人で大阪市天王寺区に住む40代の主婦Yさんの言葉に耳を疑った。

「私も投票をしながら、こんなやり方ではなりすましの投票ができるんじゃないかと疑問に思ったのよ」

 住所と姓名と生年月日を伝え、それが自治体が把握している選挙人名簿と合致し、その年齢に近い風貌であれば、「なりすまし」の投票が可能である、というのだ。