オリオールズの藤浪晋太郎投手(写真:アフロ)

 禍福は糾える縄の如し――。その言葉をあらためて実感させられるのが、ボルチモア・オリオールズでプレーする藤浪晋太郎投手の“激動の野球人生”だ。

地区優勝を盤石にするために藤浪を獲得

 藤浪は7月19日にオークランド・アスレチックスからオリオールズへのトレード移籍が電撃決定。9年ぶりの地区優勝を視野に入れるオリオールズは傘下3Aに所属していたトッププロスペクトの左腕イーストン・ルーカス投手(26)を交換要員として放出し、Vを盤石にするべくブルペン補強を図るため藤浪に白羽の矢を立てた。

 一方、両リーグ最低勝率に沈むなどチーム再建が急務となっているアスレチックスも潜在能力を開花させつつあるリリーバーの藤浪を売り時と判断し、若手有望株を交換要員としたオリオールズ側からのトレード打診に応じた格好だ。

 MLBは8月1日にトレードデッドラインを迎える。この期限が迫り、アスレチックスは1年契約で今オフにFAとなる藤浪を契約満了前に放出し、その見返りとして成長著しい若手左腕を獲得する方が得策と判断。藤浪は1年325万ドル(約4億4000万円)でアスレチックスと契約していたが、その契約内容のうち残りの日割り計算分をオリオールズが負担する形となる。

 今オフにFAとなる大物選手がデッドライン前にポストシーズン進出を目指す“買い手”の上位チームへトレード移籍する流れはいまさら言うまでもないだろうが、よくあるパターンだ。結局、少なくとも今季いっぱいまでチーム残留が決まったロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手も今オフにFAを迎える超大物だけに、7月28日の敵地デトロイト・タイガース戦前にペリー・ミナシアンGMが「大谷をトレードに出すことはない」と明言するまで“移籍狂騒曲”が吹き荒れていた。そして、このオリオールズも大谷のトレード移籍先として急浮上していたチームの1つである。