王者復活なるか。プロ野球の巨人が2月28日、沖縄・那覇キャンプを打ち上げた。5年ぶりのリーグV、そして7年ぶりの日本一奪回はチームの至上命題。そのキーパーソンとなるのが、かじ取り役の原辰徳監督だ。指揮官就任は4年ぶり3度目の大役だが、プレッシャーに屈する様子もなく春季キャンプではとにかく精力的に動いていた。何としてでも古巣のピンチを救いたい。内心はそういう思いで満たされていたはずである。
暗く沈んだムードを変えた「陽性」指揮官
ここまで巨人は低空飛行を続けている。2018年もリーグ優勝を逃し、チームの4年連続V逸は球団史上ワーストタイ。何とか3位に滑り込んでクライマックスシリーズへは駒を進めたものの、セ王者の広島東洋カープに1勝も出来ずに敗退。その対広島戦では17年の7勝18敗に続き、18年も7勝17敗1分の体たらくに終わり、同一カードで2年連続の2けた借金は球団史上初という屈辱を味わった。
苦手意識の強い広島の存在については原監督も大いに意識しているようだ。昨秋の就任早々、後にアウェーの今季開幕戦で激突することが決まる広島に関して質問を振られ「私が(監督で)いた時はそんなに強くなかった」と挑発気味の言葉を発したのも、明らかに神経を尖らせているからであろう。このぐらいのことで相手の広島の面々が動揺したり、憤って挑発に乗ったりするようなことはまずあり得ないが、何もしないよりは全然マシだ。チーム全体もやる気になるはずだし、ヒートアップしてファンも盛り上がる。我々メディアにとっても非常に有り難い発言だった。
こうした言葉の発信力や選手との直接対話など原監督には「動」や「陽」のイメージが強い。まるで積極性の感じられない監督と比較すれば、指揮官としての資質は雲泥の差だ。