
(川島 博之:ベトナム・ビングループ Martial Research & Management 主席経済顧問、元東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)
備蓄米を随意契約によって放出したコメが、スーパーの店頭などで5キログラム2000円程度で売りに出された。現在販売されているコメのほぼ半額であり、発売日にはスーパーに長い行列ができた。
テレビなどはその報道一色である。コメ価格が高騰した理由についての報道はほとんどない。ネット論壇において影響力を持つ人々はコメ問題には詳しくないようで、コメ高騰について説得力のある話を聞かない。そんな状況なので、コメ価格高騰に対して筆者の考えを述べてみたい。
価格高騰の真の原因は?
まず今回の価格高騰の原因を考えてみたい。価格が高騰し始めた昨年(2024年)夏頃から、政府はコメは足りていると言い続けてきた。実際に2024年の作況指数(平年を100とした指数)は101と平年並みであり、2023年も101であったことから、米は足りているはずだった。
それにもかかわらずコメ価格が高騰した。一時は日本に滞在している中国人やベトナム人が買い占めているなどといった噂が流れた。確かにそのような動きはあったようだが、それは価格高騰に便乗した行為であり、量も少なく、それが原因ではない。
価格高騰の真の原因は一般人による“買いだめ”(少量の買いだめであり“買い占め”とは異なる)である。