「笛吹けど踊らず」の可能性
中国の昨年の原油処理量は前年比57万バレル減の日量1413万バレルだった。コロナ禍の2022年を除くと20年ぶりの前年割れだった。国内の在庫も増加し続けており、代替の原油を慌てて見つける必要はないのかもしれない。
市場では強気ムードが続いていたが、20日にトランプ氏が大統領に就任すると原油価格は2%超下落した。エネルギーに関する国家非常事態を宣言したことを受け、規制緩和により米国の原油生産量が増加するとの見方が広がったからだ。
トランプ氏は就任初日、北極圏(面積は約1600万エーカー)での原油掘削を禁じるバイデン氏の2023年の覚書を撤回する大統領令に署名した。

トランプ氏は「米国の原油生産は日量300万バレル増加する」と豪語しているが、筆者は「原油開発が活発化する可能性は低い」と考えている。
OPECプラス(OPECとロシアなどの大産油国で構成)の大規模減産を尻目に、米国の原油生産は既に最高水準にある(日量約1350万バレル)。
10年前と異なり、米国の石油企業は財務重視の経営を行っており、原油価格を下げる増産に慎重だとの見方が一般的だ。
このため、トランプ氏が「掘って、掘って、掘りまくれ(drill, baby, drill)」と号令をかけても、笛吹けど踊らずに終わる可能性が高いのだ。
一方、トランプ氏の政策は世界の原油供給に支障をもたらしかねない。