関税強化で原油需要低迷も
念頭にあるのは、米国最大の原油輸入国であるカナダに25%の関税を課す措置だ。
カナダ産原油も課税されることになれば、米国内のガソリン価格が再び急騰する可能性は高く、その結果、米国の原油需要が縮小に転じ、最終的に原油価格の下落を招くことになるかもしれない。
世界全体の原油需要が停滞するリスクも意識され始めている。
トランプ関税が引き金となって主要国が互いに追加関税を科せば、世界経済が深刻な打撃を被り、世界の原油需要が停滞してしまうとの懸念だ。
このようにトランプ氏の政策は波乱含みだ。今年の原油市場はトランプ氏の言動に振り回されるのは確実なのではないだろうか。
藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。