(イメージ:show999/Shutterstock.com)

足元でガソリン価格が急騰している。引き金は補助金の削減だが、そもそもガソリン価格の高騰を招いている根本的な原因はほかにもある。国民生活に大きな影響を及ぼすガソリン価格は今後、本当に下がるのか?

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 国内のガソリン価格がこのところ上昇している。

 経済産業省によれば、1月14日時点のレギュラーガソリンの店頭現金小売価格(全国平均)は1リットル当たり180.7円となっている。昨年12月のガソリン価格(約176円)に比べ5円ほど割高だ。

(出所:共同通信社)
拡大画像表示

 燃料油価格激変緩和補助金(ガソリン補助金)の削減が決定されたことが主な理由だ。

 ガソリン補助金はガソリン価格が1リットル当たり168円以上になったら支給されるもので、2021年1月からコロナ対策の一環として実施された。当初は3カ月限定だったが、同年2月末にロシアがウクライナに侵攻したことで原油価格が高騰したことを受け、現在まで続いている。

 ガソリン補助金はエネルギー対策特別会計から支出されている。計上した予算は累計8兆円に達しており、「ガソリン補助金に頼りすぎだ」との批判が生まれていた。

 政府は昨年12月19日、ガソリン補助金を1リットル当たり5円削減した。これによりガソリン価格は約5円上がったが、1月16日からさらに1リットル当たり5円削減され、2~3週間後のガソリン価格は185円程度に上昇することが見込まれている。

 政府の決定は「ガソリン補助金が『脱炭素』の妨げになっている」という海外の批判にも配慮した措置だろう。国際社会は欧州を筆頭にガソリン価格への補助を縮小・撤廃する流れとなっている。  

 今回の補助金の削減を踏まえても日本のガソリン価格は主要7カ国(G7)の中で米国、カナダに次いで安い。だが、日本ではいまだガソリン車が主流であり、ガソリン価格の値上げは家計への打撃は大きいと言わざるを得ない。