そもそも円安が大きな原因

 ガソリン価格は180円超えになったのは2008年以来のことだ。

 2008年8月のガソリン価格は1リットル当たり182円となったが、ドル建て原油価格の高騰が主要因だった。米WTI原油先物価格(原油価格)は一時、1バレル当たり147ドルに跳ね上がっていた。

 一方、今回のガソリン価格上昇の主たる原因は円安だ。2008年当時の為替レートが1ドル=100円台後半だったのに対し、現在は150円台後半だ。ドル建て原油価格は70~80ドルと2008年に比べて格段に安い。

「トランプ政権の誕生で円高になる」との観測が出ているが、筆者は「円安基調は当分変わらないのではないか」と考えている。「貿易収支の黒字が円高を招く」というパターンが長年続いたが、日本の貿易収支は今や赤字基調となっているからだ。

 為替取引の大半は投機に基づくものだが、貿易収支の動向が大きな影響を与えると言われている。今後、円高に転じる可能性は低いのではないだろうか。

 このことは円の原油に対する購買力の低下を意味する。

 日本はこれまで以上に安価な原油を調達する必要に迫られている。