EV時代を見据えた自動車税のあり方の議論が本格化する(写真:西村尚己/アフロ)

今年も税制調査会が本格的に動き出した。焦点は、国民民主党が主張する、いわゆる「103万円の壁」の引き上げやガソリン減税などだ。だが、クルマに関してはガソリン減税のみならず、車体課税の抜本的見直しの議論にも着手する。EV(電気自動車)の普及を見据えた自動車税のあり方とは?

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 車体課税とは、クルマの取得時にかかる「自動車税(軽自動車税)の環境性能割」(旧取得税の置き換え)と、クルマの保有時にかかる自動車税(軽自動車の場合は軽自動車税)と自動車重量税を指す。

 これらの各種税金については、自動車ユーザー向けの団体である、JAF(日本自動車連盟)や、自動車メーカーなどでつくる業界団体の日本自動車工業会(自工会)は常々、欧米各国との比較でユーザー負担の大きい車体課税の見直しを国に要望し続けてきた。

 そうした経緯があり、昨年12月に公表された「令和6年度税制改正大綱」では、車体課税や燃料関連税など、自動車関係諸税の抜本的な見直しに向けた議論を進めることが明記された。

 期限については「(クルマの)利用に応じた負担の適正化等に向けた具体的な制度の枠組みについて、次のエコカー減税の期限到来時までに検討を進める」と、明確な時期が示された。

 エコカー減税は、自動車重量税において、EV(電気自動車)など環境性能が良いクルマに対して税金を一定期間免除したり減額したりする措置だ。その期限は、2025年度(令和7年度)末である。

 この期限を守るためには、今年末にとりまとめる税制大綱で車両課税についての方向性を大筋決めて、来年12月の税制大綱までの1年間で具体的な税体系や制度設計を結論づける必要がある。

 抜本的な改革にもかかわらず、実質的な議論の期間は短いという印象を持つ人が少なくないだろう。

 その上で、自工会は10月、「自動車税制抜本見直しの改革案」を発表した。その内容には、筆者を含む多くの報道関係者らは、かなり思い切った提案という感想を持った。

 改革案には、大きく2つの視点がある。