韓国の自動車大手ヒョンデの子会社ヒョンデモビリティジャパンは11月8日、横浜市内のカスタマーエクスペリエンスセンターで「2025年度ビジネスプラン発表会」を開催した。マネージングダイレクターの七五三木俊幸氏は「(次の)5年間で10倍以上の販売規模を目指す」という中期経営方針を掲げた。はたして、ヒョンデの目論見通り、事業を拡大できるのだろうか?
(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
まず、ヒョンデの日本市場での歩みを振り返っておく。
ヒョンデは2000年代(当時の表記はヒュンダイ)、日本の各地で新車販売店を構えて事業を行っていた。だが、導入車種が日本市場にマッチしなかったなどの理由から撤退した。
日本への再参入を発表したのは2022年2月。その際、日本の自動車産業界が驚いたことが、大きく2つある。
一つは導入モデルについてだ。電気自動車(EV)の「IONIQ5(アイオニックファイブ)」と燃料電池車(FCV)の「NEXO(ネッソ)」を皮切りに、ZEV(ゼロエミッションビークル)のみとしたからだ。そこには、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車を含まない。
もう一つは、販売をオンラインのみとしたことである。リアルでの顧客との接点は、自社施設としてカスタマーエクスペリエンスセンターを横浜市内に構えたほか、自動車関連部品などの量販大手オートバックスと協業して同社店舗を起点とした試乗体験プログラムなどを展開している。
車両の点検や整備は、カスタマーエクスペリエンスセンターのほか、各地の提携整備施設などで対応している。
2023年11月には小型EV「KONA」、2024年6月にはハイパフォーマンスな「IONIQ N」を発売した。日本自動車輸入車組合(JAIA) のデータによると、販売台数は2022年が526台、2023年が492台となり、日本再参入後の総販売台数は約1500台となっている。
ヒョンデモビリティジャパン関係者によれば、直近の販売では「IONIQ 5」と「KONA」が全体の半分ずつというイメージで、NEXOはごく少数という。