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 近年、各国の自動車産業は世界的な脱炭素化の流れを受けて電気自動車(EV)へのシフトを進めてきた。ところが最近になって、フォルクスワーゲンがEV需要の伸び悩みによるコスト削減のため工場封鎖を検討、ボルボ・カーは2030年までに全ての車種をEV化する目標を撤回、ゼネラルモーターズ(GM)は大型EVの生産を延期、トヨタ自動車は2026年のEVの世界販売計画を100万台に縮小することを発表するなど、EV市場の減速感が強まっている。

 こうした状況を踏まえ、自動車産業の今後について日刊自動車新聞社編集本部副本部長の畑野旬氏に聞いた。

<連載ラインアップ>
第1回 業界再編、SDV、自動運転・・・日刊自動車新聞副本部長に聞く自動車業界の注目動向
第2回 SDVで世界シェア3割は実現可能か? 日刊自動車新聞副本部長が解説する経産省・国交省「モビリティDX戦略案」の狙い
第3回 2025年に第2世代を投入、アイシンがeアクスルで目指すEVとHVの二刀流とは?
■第4回 EVとガソリンエンジン車の長所を両立、CASE技術も生かせるプラグインハイブリッドが秘める可能性とは?(本稿)


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EVへの期待と失速のギャップはなぜ生まれたか

──そもそも電気自動車(EV)はエンジン車に対して車両価格が高く、充電インフラや航続距離の問題など、普及へのさまざまな障壁が存在しました。そんな中、なぜ各国のメーカーはEVシフトへと急激にかじを切ったのでしょうか?

【日刊自動車新聞】

1929年に日本初の自動車専門紙として創刊。専門紙としては、世界最大級の部数を誇る。東京本社と全国の支社、支局のネットワークを駆使して自動車産業の今を発信中。
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畑野氏(以下・敬称略) EVシフトの背景には、地域によって異なる要因がありました。EVを推進しているのは特に中国と欧州ですが、例えば中国は国家戦略としてEV産業を育成し、世界市場での主導権を握ろうとしています。

 一方、欧州では従来、最新の排ガス規制に適合したクリーンディーゼルエンジンを推進する戦略を採ってきましたが、2015年に発覚したフォルクスワーゲンによる排出ガス不正問題、いわゆるディーゼルゲート事件を契機に、政治的・社会的にディーゼル車の評価が下がりました。これを受けて環境規制や産業政策がEV推進にシフトしたのです。

 例えばEUは2035年以降、内燃機関を搭載した新車の販売を禁止する方針を打ち出しました。欧州メーカーとしては、2035年以降はエンジンが製造できないのであれば、経営資源をEV開発に集中させようと判断したわけです。

──当時のEVへの期待感と現在の失速した状況とのギャップはなぜ生まれたのでしょうか?