ボルボが新たなフラッグシップモデル「EX90」の発売を目前に控えた9月4日、2030年までの完全電動化方針を変更した。2030年までに先進国を走る自動車の相当数がBEV(Battery Electric Vehicle)に置き換わるはずだった計画は、2024年、欧州を中心に見直しが相次ぎ、BEV化の急先鋒(せんぽう)と見られた米国・中国でも販売の勢いは鈍化している。この混乱した状況に、日本メーカーはどう対応しようとしているのか。
次々に報じられる完全EV化見直し
ヨーロッパの自動車メーカーの中に今後のEV戦略を見直す動きが出てきた。
最も顕著な反応を示したのはボルボで、「2030年までに完全なEVメーカーになる」としていた方針を後退させ、「2030年までにEVとPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)の合計で販売比率の90~100%を目指す」と9月4日に発表した。なお、残る0~10%は簡易型ハイブリッドのマイルドハイブリッドで賄う。一方で「将来的に完全なEVメーカーとなる方針に変わりはない」としている。
メルセデス・ベンツは、2030年までに完全なEVメーカーになる目標(ただし「市場の環境が許す範囲において」との条件付き)を取り下げたことを今年2月に発表した。さらにメルセデス・ベンツ グループの最高経営責任者であるオラ・ケレニウスは、2030年までに次世代内燃エンジンの開発に140億ユーロ(約2兆2000億円)を投じると公言した模様である。これもEV重視の方針を見直し、一定比率を内燃エンジンモデルに依存する姿勢の表れとして注目される。
こうした方針の見直しは、EVのセールスが世界的に鈍化したことが引き金になったようだ。