昭和電工、日立化成という国内の大手化学メーカー2社が経営統合し、2023年に誕生したレゾナック。統合によって国内市場での存在感は高まったが、世界トップとの差は大きい。差別化戦略が求められるなか、決断したのは「半導体材料メーカー」への道だ。同社が目指す「スペシャリティケミカル」への投資、人材戦略について、レゾナック・ホールディングス取締役常務執行役員、最高財務責任者(CFO)の染宮秀樹氏に話を聞いた。
半導体材料に経営資源を集中投資
――レゾナックは、グローバル市場で成長するための戦略として、総合化学企業から「スペシャリティケミカル」企業への変革を進めています。そうなることで、どんな強みを発揮できるのでしょうか。
染宮秀樹氏(以下・敬称略) 当社は統合後の事業ポートフォリオの見直しで、従来から持つ強みの1つである半導体材料の製造を今後の事業の中核と位置づけ、変革を進めています。これはご存じのとおり、AIや電気自動車(EV)の急拡大を中心にした半導体市場の中長期での拡大を見越したものです。
直近ではEVの成長カーブがいったんなだらかになるなど、短期的な市場の変動はあります。また、コロナ禍でクラウドサービスが爆発的に伸びたことによる、データセンター向け半導体のバブル的な需要からの反転がありましたが、直近では底を打った印象です。こうした波はあるものの、中長期の大きなトレンドを考えれば、今後AIとEVが大きく成長することは間違いなく、その成長は半導体なくして実現しません。
当社は、そこに経営資源を集中投資していく経営判断をしました。これは、先端材料を提供することで、「化学の力で社会を変える」という当社のパーパスにも合致している戦略です。
では、半導体製造の中で、当社の材料がどのように使われているのか、概要をお話しします。