BtoBソリューション事業を手がけるパナソニック コネクトは、2022年4月パナソニックグループの持株会社体制への移行に伴い社内カンパニーから事業会社として新たに発足した。同社の執行役員ヴァイス・プレジデントCHROの新家伸浩氏が語った風土改革とそれを起点とした人材戦略の骨子をお届けする。

本稿は、Japan Innovation Review主催の「第2回 ウェルビーイング&エンゲージメントフォーラム」における「特別講演:カルチャー&マインド改革から始まる人事戦略について/新家伸浩氏」(2024年9月に配信)をもとに制作しています。

目指した「縦割りで重たい」から「フラットで俊敏」への変革

 パナソニック コネクトは、2017年にその母体が社内分社という形で誕生しており、2022年4月からはパナソニックホールディングス傘下の事業会社として展開している。

 同社は社内カンパニーであった2017年から、風土改革、ビジネス改革、事業立地改革という3階層の企業改革を進めてきた(下図)。

 特に1階層目の風土改革は、企業改革全体の大きなベースとなる改革との位置付けで、多くの施策を展開してきている。風土改革は「カルチャー&マインド改革」ともいい、働き方改革、DEI、コンプライアンスの3本を改革の柱としている。

 カルチャー&マインド改革で目指す姿は「縦割りで重たいカルチャーからフラットで俊敏なカルチャーへ」というものだ(下図)。

 同社のもともとのカルチャーは、製造業ならではの縦割りで俊敏さに欠ける文化だったという。しかし、ソリューション事業を広く手がけるに当たり、顧客ごとにソリューションを提供しなければならないという特性上、フラットで俊敏なカルチャーへの転換が必要とされた。

 新家氏は次のように説明する。「松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏も『自由闊達』『下意上達』という言葉を残しており、フラットで俊敏なカルチャーというのは、創業の精神だったと言えます。それが長年のうちに、縦割りの重たいカルチャーとなっていました。

 そこで改めて、社内のピラミッド構造を横倒しにし、社員はヒエラルキーのどの位置にいても、お客さまやパートナーさまと直接リーチをし、ワクワクしながら仕事ができ、自分も成長できる、そんな会社を目指すこととしました」。

※Diversity、Equity、Inclusionの略