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 過去にITバブルやリーマンショックなどに見舞われながらも、着実に成長を続けてきた半導体市場。家電、EV、データセンターなどで多くの半導体が使用され、世界人口の増加や技術進化とともに、今後も市場拡大が見込まれる。一方、近年、半導体市場を取り巻く国際情勢や技術進化の方向性に変化の兆しが見られるようになった。半導体の材料、製造・検査装置の分野で強みを発揮する日本企業が注目すべき点とは?

 コンサルティング大手A.T. カーニーが上梓した『A.T. カーニー 業界別 経営アジェンダ 2024』(A.T. カーニー編/日経BP、日本経済新聞出版本部)において「半導体」の章を執筆した西川覚也氏が解説する。

回復への期待感が高まる2024年の半導体市況

 半導体産業は全般的に成長過程にあり、長期的な観点で見ると、シリコンサイクルと呼ばれる景気循環があるものの、そのピークは前回のピークに比べて高いという特徴が見られる。基本的に右肩上がりで成長している証拠といってよいだろう。

 とはいえ、足元の半導体市況を見ると、2年前からメモリーセクターが厳しい状況にある。メモリーはサムスン電子が最大シェアを握っているので、同社の業績を見れば、大体の景況感は把握できる。同社の業績は2023年12月期の連結ベースで、営業利益が前期比約85%減となっており、15年ぶりの低水準にとどまっている。

 一方、近年は生成AIの普及に伴って、データセンターバブルとでも言うべき様相を呈しており、この分野における半導体需要が伸びている。その結果、トータルで見た半導体市場の景況感は、横ばいを少し上回る程度で推移している。

 そして2024年は、半導体市況がいよいよ底を打ち、回復過程に入りそうだ。本当に大底を打ったのかどうかについては、データ面で検証できていないので確たることはいえないが、在庫の解消が進んでいるのと同時に、この2年間、メモリーの価格が下がり続けているので、さすがにそろそろ回復するのではないかという期待感が広まりつつある。

 今から40年ほど前の1980年代、日本の半導体産業の売上高は世界市場の約50%を握り、世界トップだった。

 1989年の売上高ランキングを見ると、NEC、東芝、日立がトップ3で、その他、富士通、三菱電機、松下電子工業がトップ10に入っていたが、今は東芝の半導体メモリー事業を分社化して立ち上げられたキオクシアグループ、そして三菱電機と日立製作所から分社化したルネサステクノロジと、NECから分社化したNECエレクトロニクスの経営統合によって発足したルネサスエレクトロニクスの他、カメラやスマホに用いられているイメージセンサーに強みを持つソニーセミコンダクタソリューションズなど、売上高1兆円規模の半導体メーカーは散見されるものの、半導体売上高のグローバルランキングを見ると、残念ながら日本の半導体メーカーはトップ10に1社も入っていないのが現状だ。