コロナ禍を経て、ハイブリッドワークが普及するなど日本の働き方は大きな転換点を迎えている。働く環境やオフィスの在り方に頭を悩ませる企業も少なくないだろう。そうした中、オフィス家具大手のオカムラでは、日本の「はたらく」を取り巻くトレンドを9つに整理した「SCOPE はたらき方のトレンド 2024」を発表した。
本稿では、オカムラでワークデザイン研究所の所長を務める森田舞氏と、スペースデザイン部長の佐々木基氏がそのポイントを徹底解説。浮かび上がってきたのは、日本の「はたらく」と「オフィス」の“今”だ。
本稿は、2023年12月12日に開催されたオカムラ主催「人が活きる“はらたく”の最前線 OKAMURA WORK SUMMIT 2024」のセッション2「徹底解説! 2024年のオフィス、働き方9つのトレンド」の内容を採録したものです。
出社率は戻ってもコロナ禍で変化した働き方は元には戻らない
オカムラが挙げる日本の「働く」に関するトレンドは下記の9つで、「LIFE」「WELL」「COMMUNICATION」という3つのカテゴリーに分けられる。
これらのトレンドは、コロナ5類移行後の「働く環境」や「経営者の抱える経営課題」などについての同社の独自調査や社会背景を踏まえて作成されたものだ。
例えば「働く環境」では、コロナ5類移行後、会社への出社率がコロナ前の水準に急速に戻りつつあることが同社調査※1で明らかになっている。
※1「コロナ5類移行後の働き方実態調査」(2023年)
ただし、「出社率や人出がコロナ前の水準に戻っても、働き方については、現在ハイブリッドワークが定着していることなどから分かるように、元には戻っていません。働く環境が変化していることを踏まえて、未来を考えることが重要だと考えています」と森田氏は話す。
そして考えるべき未来の課題は、コロナ5類移行後に経営者が抱える経営課題にも表れているという。
同社が2023年夏に行った調査では、経営者が抱える経営課題として「優秀な人材の確保」「従業員の生産性の向上」「経営層と従業員のコミュニケーションの活性化」「社内における部門間連携の促進」「従業員の健康改善」が上位を占めた。
これらの経営課題や社会背景などを踏まえて、同社では下記のように今後注目すべき労働環境におけるカテゴリーを設定した。
こうして設定された3つのカテゴリーを基に9つのトレンドワードが展開される。これらのトレンドになぜ今注目すべきなのかという点について、森田氏は次のように語った。
「これからの働き方やオフィスの在り方を考えるときに、何から考えればいいのかと迷うことも多いと思います。そうした時にこれらのキーワードを議論のよりどころやきっかけとしていただきたい。あるべき姿を中長期的に考える時にも、社会変化にスピーディーに対応しなければならない時にも使えるように作成しました」