従業員の「仕事における幸福度」を高めるという難題に取り組むのが、食品卸の国分グループだ。そのために「仕事における幸福度担当」を設け、従業員が幸福を実感できるためのさまざまな取り組みを進めている。国分グループはなぜ目に見えない幸福度に注目したのか。また、従業員の幸福度をどのような施策で高めようとしているのか。「仕事における幸福度担当」の野間幹子氏に話を聞いた。
「仕事における幸福度」を会社独自に定義した
──なぜ「仕事における幸福度」に注目したのでしょうか。
野間幹子氏(以下敬称略) 国分グループでは2021年に第11次長期経営計画をスタートさせるときに「『食のマーケティングカンパニー』の進化~共創圏の確立~」というビジョンを掲げました。そのときに「世界の人々の幸せと笑顔を創造する企業なら、そこで働く私たちも幸せで笑顔でなければならないのでは」という声が従業員から上がったのです。
仕事において幸せである状態を構成要素に分解すると、まず本人の健康や快適な職場環境があることで「働きやすさ」が生まれ、人と関係性を築く中で自分の強みを発揮することが「働きがい」となり、最終的に自己実現へとつながります。
そこで、「仕事への充足感があり、仲間と切磋琢磨していること」を「幸福」と表現することにしました。
──幸福は抽象的な概念ですが、どのように確認するのでしょうか。
野間 幸福は主観的概念で計測できないので、会社として「〇〇の状態であれば幸福度が高い」と言える指標を持つ必要がありました。そこで社内で幸福度調査を実施したところ、仕事における主観的幸福感が高い集団は自分のパーパスを持ち、国分グループが大切にしている価値観を総称した「国分スタンス」に共感する傾向があることが分かりました。そのため「個人のパーパスを持っているか」「国分スタンスに共感しているか」という2つの指標を継続的に測定することにしました。
そして「仕事における幸福度」の定義を「従業員一人ひとりが『国分スタンス』に共感し、自分らしさと人とのつながりを大切にしながら、夢や目標に向かって、やりがいや楽しさを感じ成長を実感できること」としました。