アイリスオーヤマ 大河原工場(撮影:川口紘)

 収納ケースなどのプラスチック製品や家電製品、生活用品、衛生用品、食品などを幅広く製造販売するアイリスオーヤマ。工場・物流拠点の一つである大河原工場(宮城県)では、最新鋭の「ケースコンベアシステム」を開発して倉庫から配送トラックへの荷積みの時間を大幅に短縮することに成功した。このシステムはいかにして完成したのか。同社が進める物流改革について探る。(前編/全2回)

倉庫の出荷業務を効率化する必要に迫られる

 宮城県南部に位置する大河原工場は、使い捨てカイロなどの製品の製造部門の他に、東北地方を中心とした物流基地としての役割も担っている。というのも、アイリスオーヤマは独自の「メーカーベンダー方式」を採用しており、製品のメーカーとしてだけでなく、自社製品と小売り業態をつなぐ問屋機能を持つことで、より消費者に近い製販一体の体制を構築している。また、物流を経営の軸として捉え、流通のムダを省くために物流センターの中に製造工場を持つという発想で工場を全国各地に配置しており、その中で大河原工場は東北地域の物流ネットワークを担う重要拠点となっている。

 本工場の副工場長を務める新妻翔氏は、同社入社後、埼玉工場やつくば工場に勤務し、物流倉庫の業務に携わってきた。2023年に大河原工場に赴任して現職として倉庫全体の運営を行いながら、日々業務改善に取り組んでいる。

 大河原工場の物流倉庫は、全国に点在する倉庫業務を改善する施策を開発する工場としての役割も担っている。新妻氏は「当社の製品はSKU(商品数)も非常に多く、大きさや重さもさまざまな物を扱っています。その中で、効率化は大きな課題でした」と話す。