アイリスオーヤマでは、自動倉庫から出てきた商品をトラックに出荷する作業を大幅に効率化する「ケースコンベアシステム」の導入を進めている。物流改善の中心地であるアイリスオーヤマ 大河原工場(宮城県)で副工場長の新妻翔氏は、日々の業務を一手間でも効率化すべく奮闘する。独自のビジネスモデルである「メーカーベンダーシステム」を基盤にした、物流視点の業務改革の現在と未来を聞いた。(後編/全2回)
物流担当者が小売店を視察する?
自社が製造したさまざまな商品を格納した自動倉庫から、各流通小売企業のトラックに荷物を移し替える作業の大部分を自動化する、アイリスオーヤマの「ケースコンベアシステム」。このシステムは大河原工場(宮城県)で初めて実装された後、全国各地の工場で導入が進んでいる。それによって、出荷のためのトラックの荷待ち時間は解消され、物流効率は2~3倍に向上、同社の倉庫作業者の業務も大幅に改善された。
物流業界における「2024年問題」では、労働時間の制限によってトラックの長距離輸送が難しくなる。同社ではすでに、全国に工場と倉庫を展開し、半径100~300km圏内には「1日配送圏」を確立している。物理的な拠点の配置と、ケースコンベアシステムなどの荷役業務の短縮により、2024年問題による業務への影響はほとんどなかったと、大河原工場副工場長の新妻翔氏は語る。