
セブン&アイ・ホールディングス(HD)が、傘下のスーパーなど非中核事業を束ねる中間持ち株会社ヨークHDの売却に向けた入札を開始した。また、米投資ファンドのKKRは西友の売却を検討している。今後、総合スーパー(GMS)業界の再編はどのように進んでいくのか? 流通業界の専門誌、月刊『激流』編集長の加藤大樹氏に聞いた。
2025年は大再編に向けた過渡期になる
――セブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイ)が総合スーパー(GMS)のイトーヨーカ堂など、コンビニ以外の事業を手離す動きを加速させています。GMS業界のこの動きをどう見ていますか。

1976年、製配販にまたがる流通業界の専門誌として創刊。スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、百貨店など、小売業の経営戦略を中心に、流通業の今を徹底的に深掘り。メーカーや卸業界の動向、またEコマースなどIT分野の最前線も取り上げ、製配販の健全な発展に貢献する情報を届ける。
加藤大樹氏(以下敬称略) 今、GMS業界は大再編の真っ只中にあると見ています。セブン&アイは祖業であるイトーヨーカ堂への出資を持分法レベルに引き下げることにしていますし、西友の親会社のKKRもすでに北海道と九州の西友を売却し、残っている本州の西友も2025年度中には売却すると見られています。
ダイエーはもうイオンの傘下に入っていますが、イトーヨーカ堂、西友、ダイエー、イオンと言えば、いずれも昭和のGMS業界をリードしてきた大手GMSです。そのうちイオンを除く2社が再編の渦中にあり、いずれも売却が進んでいます。今年はGMS業界の再編が最終局面に入る可能性があります。
――セブン&アイはコンビニ以外のグループ企業31社を統括する中間持ち株会社、ヨークホールディングス(HD)を売却するための1次入札を行い、KKR、ベインキャピタル、日本産業パートナーズの3社が通過しました。この3社はどういう戦略で買収に名乗りを上げたのでしょうか。