陳宮

 約1800年前、約100年にわたる三国の戦いを記録した歴史書「三国志」。そこに登場する曹操、劉備、孫権らリーダー、諸葛孔明ら智謀の軍師や勇将たちの行動は、現代を生きる私たちにもさまざまなヒントをもたらしてくれます。ビジネスはもちろん、人間関係やアフターコロナを生き抜く力を、最高の人間学「三国志」から学んでみませんか?

本稿は「Japan Innovation Review」が過去に掲載した人気記事の再配信です。(初出:2024年9月5日)※内容は掲載当時のもの

凡庸な軍師は、大敗北を引き寄せる…

 前回の記事で、大軍略家のNo.1を魯粛、戦闘指揮官のNo.1を司馬懿と選定しました。このように三国志では、抜きん出た成果を残した優れた軍師が登場する裏で、勝者に敗れて退場する「ざんねんな軍師」も多数いました。

 このような「ざんねんな軍師」が指揮を執る軍団では、大将はその野望を実現することなく無念とともにこの世から去ることになったのです。三国志は、まさに実力と結果だけがものを言う世界で、飾り立てられた古い権威や肩書は何の役にも立たない状態でした。

 今回の記事では、前回の最強軍師と対比して、「ざんねんな軍師」を挙げ、彼らのざんねんさが、どんな要素から生まれているかを考察します。実はこのようなざんねんな軍師のような人物は、現代ビジネスでもわたしたちの身の周りにたくさんいるかもしれません。