パナソニックグループでB2B事業を担うパナソニック コネクトは、日本で生成AIの話題が広がり始めていた2023年2月に、生成AIツールの全社導入をスタートさせた。独自開発のユーザーインターフェース(UI)で、使いやすさに徹底的にこだわり、複数のAIエンジンにも対応する。同社のAIツール開発を主導するCIOの河野昭彦氏に、AI導入と利用活性化の取り組みを聞いた。
国内企業で特に早かった生成AIの全社導入
――生成AIの全社導入が2023年2月から始まっています。日本の企業としては非常に早いスタートだったと思いますが、なぜこんなに早く導入できたのですか。
河野昭彦氏(以下・敬称略) 私のチームには、常にAIの新しい技術を追いかけているメンバーがいまして、Open AI社の動向もウォッチしながら共有していました。2022年の秋口に部内でこの技術はいけるのではないかという話になり、すぐに会社の許可を取り、使い始めました。
テストを始めると、予想通り、仕事を変えるポテンシャルがある非常に優れたAIだということが分かり、翌年には、一気に全社で使うことを決めました。
当社がスピーディーに生成AIの全社展開を実現できたのは、2つの理由があると思っています。1つは、当社は、新しいものをいち早く使ってみようというチャレンジのカルチャーを持っているということです。
製造業にありがちな、全てを自前で持つという考え方をしていると、これだけ技術の進化が激しい時代には取り残されてしまいます。いいものは外からどんどん採り入れて、まずは試してみる。たとえ失敗しても、次に生かせばいい。そういう考え方が浸透しています。今回のOpen AIの採用時も、社長の樋口(編集部注:樋口泰行CEO)以下経営層は、どんどんやれ、と積極的に背中を押してくれています。
ただし、何でもかんでも新しいものに飛び付いて、次々試すだけでは、身に付けることはできません。目を付けたものは、本気でとことん試すことが必要です。そのために当社が採用しているのが開発の内製化です。これが、2つ目の理由です。