(川上 敬太郎:ワークスタイル研究家)
わずか3.2%の利用者にとどまる「短時間正社員制度」
石破茂首相は所信表明演説にて若者や女性が安心して暮らせる働き方について言及する中で、「時間に余裕を持ちながら正社員としての待遇を得る短時間正社員という働き方も大いに活用すべき」と述べました。
短時間の働き方と言えば、真っ先にパートタイマーが頭に浮かびますが、短時間かつ正社員という働き方については、まだあまりなじみがない印象を受けます。短時間正社員とはどういう働き方で、どんなメリットやデメリットがあり、職場がどう対処すれば活用できるのでしょうか。
短時間正社員については、厚生労働省の「多様な働き方の実現応援サイト」にて以下のように説明されています。
フルタイム正社員と比較して、1週間の所定労働時間が短い正規型の社員であって、次のいずれにも該当する社員のことを言います。
(1)期間の定めのない労働契約(無期労働契約)を締結している
(2)時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同種のフルタイム正社員と同等
しかしながら、いまのところ導入されている事例は多くありません。厚生労働省が公表している「令和5年度雇用均等基本調査」によると、短時間正社員制度の利用者は3.2%にとどまります。利用者の8割強は女性です。
育児介護休業法では、3歳に満たない子どもを養育する社員の所定労働時間を原則として6時間にすることが義務付けられています。そのため短時間正社員制度を設けている多くの職場では、育児などとの両立がしやすいよう福利厚生の一環として導入しています。
一方、短時間正社員を望む働き手からの声は少なくありません。