問題視されている「年収の壁」も悠々と越えられる!
また、短時間正社員は職場側にとってコスト面においてもメリットがあります。
かつて年収1000万円だった人材が、何らかの事情により週2日だけ働くことを希望している場合。勤務時間に比例させる形で給与を支払うとすると、「1000万円÷5日(通常勤務日数)×2日=400万円」です。1000万円の実力者を400万円で戦力化できることになります。働き手としても、最低賃金ギリギリであることも多い一般的なパートと比較してはるかに高い収入が得られます。
以上が5点目のメリットですが、パートで扶養枠に抑えて働こうと考えていた人が年収400万円になるなどすれば働き損を気にする必要がなく、ずっと課題視されている「年収の壁」を悠々と越えられるというのが6点目のメリットです。すると、職場側にとっても年末近くになると扶養枠を超えないようにシフト調整するといった手間もなくなります。
最後7点目は、短時間正社員を導入するための体制整備がもたらすメリットです。多くの職場では、正社員といえばフルタイムを前提としています。そのため、短時間正社員を導入するには一度フルタイム正社員が抱えている業務を細かくタスクとして洗い出し、短時間でも求める成果が出せるように構築し直して短時間正社員用に業務を再設計する必要があります。
そんな業務再設計の工程は、短時間正社員以外の働き方を導入する際にも必須です。例えばフレックス勤務であれば、働き手が自分の都合で勤務時間をコントロールしても業務が回るように設計しなければなりません。
テレワークの導入もそうですし、有休取得の推進や男性育休取得などの鍵を握るのも、他の社員に仕事のしわ寄せがいかないように業務を適切に設計できるかどうかにかかっています。逆に言えば、業務再設計がうまくできる職場は短時間正社員も導入しやすくなり、働き手と職場の双方がこれまで挙げてきたようないくつものメリットを享受できるということです。