スキルとキャリアの関係は、女性だけの問題ではない。

 時給3000円以上といった高時給の時短派遣や短時間正社員の仕事を紹介する「スマートキャリア」など、“時短業務=低給”というイメージを覆す人材紹介サービスを立ち上げてきたビースタイル代表取締役会長・三原邦彦(みはら・くにひこ)氏。前編では、時短労働と生産性の高さとの関係を三原氏に聞いた。後編では、「時短で高給」を実現するために必要なスキルやキャリアについて語ってもらう。夢物語にも思える「時短で高給」は果たして実現可能なのか――。(取材・文/小林 麻理)

前編「『時間がない』働く母も、付加価値の高い仕事へ」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54056

50歳で「社内失業」している場合じゃない

――前回は「労働時間」でなく「生産性」や「成果」がより評価されるようになったというお話を伺いました。それでも現状は、生産性が高く成果を出している若手や時短勤務中の女性より、仕事をせずに会社に長時間いる中高年のほうが高給というケースがまだまだ存在しそうです。

ビースタイル代表取締役会長・三原邦彦氏。1970年生まれ。芝浦工業大学卒業。1996年インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。2002年にビースタイルを設立し社長に就任。パートタイム型人材派遣事業を開始(現しゅふJOBスタッフィング事業)する。2017年から現職。

三原邦彦氏(以下敬称略) そうした状況を許している企業は、ずいぶん少なくなったと思います。成果で評価できない企業はこれから厳しいでしょう。ただ、たしかに「スマートキャリア」を利用する40代の元大手企業の女性の中には、周りの同僚が仕事をしないことが不満だったという人もいます。特に、男性の同僚が社内政治に注力して本来の仕事をしないので、真面目に仕事したいから辞めるというのです。

 40代半ばというと、会社の中で築く「縦型キャリア」において、自分はどこまでいけるのかが見えてくる時期です。俺は部長止まりだなとか、役員まで行けるなとか。

 そこで社内政治に没頭する人もいれば、諦める人もいる。諦めた人の中には、50代になったらほとんど仕事せずに定年まで窓際で過ごす、と腹をくくるような人もいるわけです。実際、こうした社内失業者は大勢いるという話も聞きます。