アイリスオーヤマの「イエローカード制度」は、社員に気づきを促す教育ツールとしての役割を果たしている(写真はイメージ)

 会社での評価は上司との相性次第――そうした不満はないだろうか。生活用品大手のアイリスオーヤマでは、「不公平」と不満を抱かれやすい人事評価の制度改革に2003年から着手。上司との相性のみに依存しない多面的な評価方法を取り入れている。同社の人事評価制度の中身と考え方について、執行役員・人事部部長、倉茂基一氏に聞いた。

「実績」だけでは評価しない

 会社生活の満足度は「人事評価」によって大きく左右される面があるだろう。エン・ジャパンの調査(2017年)によると、「退職を考えたきっかけ」は「評価や人事制度に不満があった」は「給与が低かった」(46%)についで2位(37%)となっており、「ミスの多い先輩が年功序列で昇進」「昇級試験では、上司に気に入られている人のみ合格し、能力は評価されない」といった具体的理由が挙げられている。

 アイリスオーヤマでは「人事評価」を、「働く社員にとって良い会社」という企業理念を実現するうえで重要な要素と位置づけ、2003年から制度改革に着手。不公平感が生じやすい人事評価のあり方の見直しを続けてきた。

 現在は、「実績」「能力」「360度評価」という3つの基準を用い、多くのメンバーが評価に関わる制度を運用している。その考え方について倉茂人事部長は次のように語る。

「人事評価における『透明性』と『納得感』を最も重要視しています。すべての人事評価施策は、『働く社員にとって良い会社』という当社の理念に基づいて実践しています」