不倫に賄賂、そして薬物・・・。今年のワイドショーは、例年にも増して衝撃的なニュースが続き、とても賑やかです。なかでも、まだ余韻を引きずっているのが、SMAPの独立騒動。
一時は解散の噂も飛び出しましたが、最終的に5人全員が事務所に残り、活動を続けることで落ち着きました。多くのファンが胸を撫で下ろしたことと思います。
ところで今回の騒動で、ジャニーズ事務所のトップの対応に首をかしげた方も多かったことでしょう。なぜなら国民的アイドルグループですら、意に沿わない存在であれば、追放されかねなかったのですから。
世間の声に耳を傾けることなく、また社内で諫言(かんげん)できる立場の人もいない状態で、自らの権力を行使しようとしたメリー副社長。メディアを通して伝わってくるその姿は、まさしく「独裁者」という表現がぴったりだと思うのは私だけでしょうか。
「権力」を使いこなす必要性
その「独裁」に注目した書籍が、『独裁力 ビジネスパーソンのための権力学入門』(木谷哲夫著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
「リーダーシップ」や「マネジメント」に関する解説書は数多く並んでいる書店のビジネス書のコーナー。それに比べ「権力」に関する解説書となると、あまり見つけることができません。
横一線が好まれる日本の社会、おそらく「権力」に対してのアレルギーが根強く残っているせいなのでしょう。逆に言うと、ビジネスツールとしての「権力」の活用は、これからの課題なのかもしれません。
この著者も、ビジネスの現場において「権力」の重要性に着目している1人です。
例えば、自分の進めたいプロジェクトがあるとします。まずは社内の同意が必要になりますが、組織が大きくなればなるほど、意思決定がまとまりにくくなり、スピード感は失われていきます。また、その過程で権力欲にまみれた抵抗勢力の横やりも入ってくることも予想されます。