政府は脱炭素を掲げ再エネ活用の政策を展開している。写真はイメージ(写真:bombermoon/Shutterstock.com)

(杉山 大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

データセンターや半導体製造といった電力多消費産業が成長する

 第7次エネルギー基本計画の検討がはじまった。

 政府資料を見ると

  1. 今後はデータセンターや半導体製造といった電力多消費産業が成長するために電力需要が増大する
  2. 大手IT企業は再生エネルギーによる電力を求めている
  3. したがって再エネ投資をしないと日本は国際競争に勝てない

と言っている。

 例えば以下の箇所だ(図1の下線部と図2)。

【図1】出所:「エネルギーを巡る状況について」(資源エネルギー庁、2024年 5 月)
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【図2】出所:「エネルギーを巡る状況について」(資源エネルギー庁、2024年 5 月)

 再エネに投資しないと、それに起因する「デジタル敗戦」が起きる、と言いたいらしい。

 だが本当だろうか?

 むしろ、再エネ投資をすれば電気料金が上がって、IT企業のみならず、日本中から産業がなくなるだけのことではないか?

 以下、順に検討しよう。