米IT大手などが「再エネを利用している」と言えるカラクリ

 企業にとって国際競争のためには、まず何より電力価格が低いことこそ重要だ。このことは経産省のヒアリングにおいても、多くの企業から聞かれた、と日経新聞は報じている

 中国は安価な石炭火力が発電の主力であり、米国ではこれまた安価な天然ガス火力が主力で、両国とも電気代がとにかく安い。だからあらゆる製造業の投資がいまでも進んでいる。

 米国の大手IT企業は再エネを利用していると宣伝している。けれども、本当に物理的に再エネ100%とできるのは、比較的出力が安定する水力発電だけである。その水力でも、渇水になると出力が低下する。

 太陽光・風力による発電となると、気象による変動が激しいので、それだけでデータセンターや半導体工場を運転することなどできるはずがない。タネを明かせば、再エネ100%を謳う企業は多いけれども、物理的には、火力発電などによる安定した電気を買っている。それでなぜ再エネを標榜できるかというと、「証書」を買っているからだ。

「証書」とは以下のような仕組みである。

  • まず、政府が、全量買い取り制度や補助金などによって、再エネ導入を促進する。この費用は、ほぼ全額が一般消費者の負担となる。
  • 再エネで発電した分だけ、「証書」が発行され、希望する企業Xに販売される。
  • 日本の場合、いま再エネ賦課金は1キロワットアワーあたり3.49円であるのに対して、非化石証書の価格は0.4円である
  • つまり、この企業Xは再エネ100%を謳っているけれども、物理的には再エネを使っているわけではないし、再エネ導入のための費用負担もほとんどしていない。

 このような「証書」は欺瞞だとして、「グリーン・ウォッシング」と批判されている。ホワイト・ウオッシングというのは古くなった家に白ペンキを塗って新築の様に見せかけることだけれども、そのグリーン版、というわけである。