ブリンケン国務長官の矜持

 一般世論の反応と比べ、バイデン政権の国務、国防総省高官や在野の外交専門家たちは当初から危機感を露わにしている。

 間もなく去り行くアントニー・ブリンケン国務長官は、尹錫悦大統領から戒厳令について事前の連絡がなかったことを認めており、「戒厳令が韓国の国際的威信を大きく傷つけた」と言葉少なにコメント。

 その後外遊先で、韓国国会が弾劾訴追したことを聞いて「民主主義の強靭さを示した」と述べて、法に基づく平和的手続きが行われたことを評価した。

 今後、誰が大統領になろうとも強固な米韓関係を維持することを願う外交辞令か。あるいは次期政権にネガティブな引継ぎをしたくないためか。

「レイムダック」の矜持なのだろう。

 一方、米議会では、上院情報委員会のマーク・ワーナー委員長が「強靭な米韓、日韓関係はインド太平洋圏に死活的な存在」と述べれば、ジャック・リード上院軍事委員長は「韓国国民が今考えるべきは、自分たちの安全、国家の安全保障ということだ」と暗に尹錫悦政権の外交政策の継続を訴えた。