なぜ、人間の一夫多妻の割合は低いのか

 猿や馬、アザラシやライオンなど、多くの動物はハーレムを形成する。

 人間は全人類社会の84%が、男性が一度に複数の妻を持つ一夫多妻制を認めており、853の文化のうち、実際に一夫一婦制を規定しているのはわずか16%と少数派である。

 男性は遺伝子を広めるために一夫多妻制を求め、女性は資源を獲得し、子供の生存を確保するためにハーレムの一員となる。

 一夫多妻制は男性にとって遺伝的に有利に働き、また多くの社会が一夫多妻制を認めているわけだ。

 しかし、そうした社会において実際に複数の妻を同時に持つ男性は、全体のわずか5~10%とその割合は低い。

 一夫一妻制の日本においては、人は恋に落ちたり、結婚したりする一方で、浮気をしたり、不貞に走ったりする者も少なからず存在する。

「浮気はいけないこと」という倫理観が一般的に浸透し、不倫が家族、友人、生計に及ぼすリスクを知りながらも、多くの人が機会さえあれば婚外性交に耽るのはなぜか。

 米国の『コスモポリタン』誌が読者10万6000人を対象に行なった調査によれば、既婚女性の54%が少なくとも1回は不倫を経験し、結婚2年以上経過した既婚男性7239人のうち72%が不倫を経験しているとの報告がある。

 カリフォルニア大学サンタバーバラ校の名誉教授で人類学者ドナルド・シモンズとブルース・エリス博士は、415人の大学生に「匿名の異性の学生とセックスできる場合、妊娠、発覚、病気のリスクは一切ないとすれば、性交するか否か」をアンケートしたところ、女性よりも圧倒的に多くの男性が、「セックスをする」と回答。

 男性は女性よりも性的多様性に興味があるとドナルド博士は結論づけている。