連載:少子化ニッポンに必要な本物の「性」の知識

アフリカから強制的に連れて来られた多くの黒人奴隷たちは、白人の経営するプランテーションなどで過酷な労働を強いられていた(写真はウィキペディアより)

 北アメリカに人間が定住したのは紀元前1万4000年といわれる。

 アメリカ合衆国は、かつて英国系移民を中心として開拓された国家である。

 クリストファー・コロンブスが1492年アメリカ大陸に到達して以降、英国とフランスは100年以上断続的に衝突を繰り返した。

 フランスは1763年のパリ条約で植民地のほとんどを英国に譲渡し、北米植民地戦争は終結する。

 この戦争で財政難に陥った英国は13植民地に重い税を課すと、植民地側は1775年に蜂起しアメリカ独立戦争が勃発。

 植民地の住民は英国の支配を拒否し、1776年に独立を宣言する。

植民地時代の北アメリカ下半身事情

 英国領北アメリカだった時代、英国の改革派プロテスタントであるピューリタンは、セックスが道徳的に堕落する可能性があると考えていた。

 男性はセックスが危険な動物的欲望だと教えられ、女性は母親や主婦としての本来の役割にふさわしくないとして、肉欲を控えることが奨励された。

 だが、サウスカロライナの英国国教会の牧師だったチャールズ・ウッドメイソンは、植民地北アメリカでは「一夫多妻制が非常に一般的」「妾関係は日常的」「結婚せずに同棲しているカップルが非常に多い」「私生児は不名誉なことではない」といった価値観が定着しているという分析を発表している。

 そして、「結婚前の性交をスキャンダラスで罪深いものとみなす人がいないことに愕然とした」と1766 年に英国の教会に報告している。

 また、歴史家ジャック・ラーキン博士も、その著書『1790-1840年の米国における日常生活の再構築(ラーキン著ハーパー&ロウ社刊)』に次のように綴っている。

「17世紀のアメリカ人は、私たちが通常想像するよりも淫らだった」

「1700年代後半の記録では、婚前交渉は広く受け入れられており、多くのカップルにとって、性行為は真剣な求愛の一部だった」

「ニューイングランドの田舎の花嫁のほぼ3分の1は、既に子供を身ごもっており、コミュニティは早期妊娠を単純に受け入れていた」

「1820年代まで、ほぼすべてのアメリカ人は、適切な社会的範囲内でのセックスは楽しく健康的であり、長期間の性的禁欲は健康に有害であるという一般的な考えに賛同していた」