連載:少子化ニッポンに必要な本物の「性」の知識

サルの婚姻形態は乱婚であり、有史以前のヒトの婚姻形態も一夫一婦ではなく乱婚だった(写真:ウィキペディアより)

 いつの時代でも男は女で、女は男で身を持ち崩す者がいる。

 それは人間の生き物としての本能が深く関係しているからではないか。私の仲間でも、そうした男女らがいる。

 年齢が親子ほど離れた若い水商売の女性に、仕事で必要だからと援助し続けた結果、借金まみれになった男。

 交際している彼女が浮気をしたことを知り激高して、その女性と間男を殴り倒して、逮捕されてしまった男。

 既婚者だが、会社の部下や取引先の女性とダブル不倫をしたことが周囲に発覚して、会社を辞めざるを得なくなった男。

 親の反対を押し切って彼氏のアパートに押しかけて同棲するが、何年経っても男に結婚する気がなく、婚期を逃してしまった女。

 若い時から男性にチヤホヤされ、男遊びを満喫したが、ただ弄ばれただけの、結婚を敬遠され続ける女。

 そうした女難、男難に遭遇した仲間が、不運で、不幸であったとは私は思わない。

 人生で男女が引き起こす問題よりも、もっと酷い目に遭う人間はいくらでもいるのだ。

倫理で縛るのが難しいのが不倫である

 一夫一婦制のいまの社会ではあるが、不倫は私たちの身近に常に存在している。

 ある調査によれば、不倫中あるいは不倫を経験した既婚の男性は、全世代平均が約4割。

 既婚女性は、全世代平均が2割の人が不倫を経験しているとの調査結果がある。

 最近では既婚者同士が出会うためのマッチングアプリも盛んで、地域密着型、女子大生など若い女子による中高年をターゲットにしたパパ活型など、多くのマッチングサービスが百花繚乱のようだ。

 マッチングにはアポ待ち機能があったり、男性を求めて既婚女性も積極的に投稿したりしていて、日頃の性的欲求不満解消のために、複数の性的関係を求めて利用しているのだろう。

 不倫は性的関係をもつことを意味し、セックスのないパートナー以外の異性に好意を抱く心の不倫は、不倫にはあたらない。

 よって慰謝料請求の対象になることはない。

 だが、肉体関係がなくとも、燃えたぎるほど心が盛り上がっていれば、それは、すでに浮気をしているに等しいのではないか。

 誰かを好きになるということを倫理で縛るのは難しい。

 長期間、不倫を継続できる人の多くは、熱情を燃やして突き進むというより、用心深く、殺人現場から立ち去る犯人のごとく、慎重に行動する傾向にある。

 不倫にはリスクが付きものだ。

 発覚したら、家庭は崩壊、離婚事由として法的に認められる事案であり、相手のパートナーから慰謝料を請求されることもある。

 彼女だけ、女房だけとの性愛行為に生きる、それを悪いとは言わない。

 だが、どんなに静かに生きようとしても、男と女がこの世にある限り、遅かれ早かれ、生きている間に大きな揺さぶりの一つや二つ、必ずやって来るものだ。

 倫理や秩序を重んじる傾向にある先進国においても、自分の血が繋がらない子供とは知らずに、育てている父親の割合は、10%前後になっているという。

 もし、いま不倫をしていて、ある時、それが発覚して大問題としてわが身にのしかかるとする。

 しかし、それも生きている証であり、許されない関係のパートナーと恍惚とした悦びに漬っている幸福も、死んでいくことの証なのではないか。