求愛と交尾に欠かせないモノとは

 古今東西、男性は性行為の前に女性に贈り物をする傾向があり、ディナーデートはセックスするための一般的な儀式といえる。

 男性が女性に求愛する場合、男性が食事代を支払うと、女性は本能的に相手が自分を口説いていると認識する。

 性的行為を得るために食べ物を差し出すといった、「求愛給餌」と呼ばれる策略は、実は人間の男性に限ったことではない。

 その習慣は、おそらく恐竜より前から存在し、下等動物の求愛も、そうした手法を用いる種もいるようだ。

 給餌、つまり食事を捧げることは相手への無償の愛ではなく、生殖と直結しているのである。

 サソリの仲間でトンボのように2対の翼で飛行する昆虫ハンギング・フライは、アブラムシ、ムカデ、イエバエなどの獲物の昆虫を仕留めると、腹部の臭腺から分泌物を出す。

 そこで、雌のハンギング・フライが立ち止まれば、贈り物として雌に獲物を提供する。

 雌が獲物を食べている間、雄はかならず交尾を開始するという。

 また、獲物が大きければ大きいほど、雌は交尾を受け入れるようだ。

 雄は雌に餌を与えることで、養い手として生殖にふさわしいパートナーであると、その甲斐性を雌に示すようだ。

雄が雌に贈り物を捧げて交尾する昆虫ハンギング・フライ:画像はウイキペディアより

 昨今、若い男女のデートは割り勘といった傾向があると聞くが、それは本来の自然界における求愛行為に反するものである。

 なぜなら、パートナーが生殖適性を評価する手段として、遺伝的品質が高いか否かの評価の基準として、求愛給餌はその裏付けとなるからだ。

 女性が生殖のための選択に影響を与える要因に、若さや顔の形、筋肉質や身長などの外観、そして財産家やカネを稼ぐ甲斐性があるか否かを判断するのは、生物が生存する上で本質的なことである。

 女性が男性の遺伝的品質にこだわりをみせるのは、月経周期の妊娠可能な時期が特に高くなる傾向がある。

 女性にとって結婚は生殖戦略であり、自分と子供を堅実に養いながら、しっかりと守ってくれる男性に魅了されるのは、自分のためだけでなく、それ以上に子孫のためだからである。