退避場所に関する具体的な「レベルチェック・シート」も掲載

【項目7】の「空襲時の避難」は、より具体的な中身で、迅速にシェルターや安全な場所に避難することが重要だが、軍事攻撃がある場合は、その地域からの脱出も考えなければならないと説く。

 退避場所としてはスウェーデン国内に多数構築される「民間防衛シェルター」がベターで、衝撃波や爆弾の破片、核兵器の爆風・熱波、さらには放射性降下物、化学兵器のガス、生物兵器に対しても、他の避難場所よりも高い防護性能を発揮するという。

中立国時代から営々と構築し続けたスウェーデンの民間防衛シェルター。MSBが管理し核戦争も想定中立国時代から営々と構築し続けた民間防衛シェルター。MSBが管理し核戦争も想定(写真:MSB Facebookより)

 他の避難場所としては地下室、地下駐車場、地下鉄の駅も有効で、トンネルや壁も一定の効果が期待できると指摘している。さらに屋外よりも屋内の方がより安全だが、その際はできるだけ窓のない部屋を選ぶことが望ましいと説明。

 また屋外で避難する時間がない場合は、とにかくその場で地面に伏せ、小さな穴や側溝があれば、迷わずそこにもぐり込み身を隠すことを求めている。

 退避場所に関するレベルチェック・シートを、イラストとともに掲載している点も特徴的だ。防御効果の低い方から「屋外の小穴や側溝」→「トンネル内や橋梁の橋脚(壁)」→「窓のない屋内」→「地下室、地下駐車場、地下鉄駅」→「民間防衛シェルター」と記し、一目で分かるように工夫している。

スウェーデンの町中で数多見かける民間防衛シェルター。スウェーデンの町中で数多見かける民間防衛シェルター。オレンジ色の四角形の中に白い三角形のマークが目印(写真:MSB Facebookより)

 核・化学・細菌(NBC)兵器の攻撃に対する避難に関しても、別コーナーで扱っている。一般の空襲と基本的には同様の避難方法としつつも、民間防護シェルターがベターだと指摘している。

 一方、放射線レベルは数日で大幅に低下するとし、過度な恐怖を抱かないような配慮も忘れない。