道中、驚いたのはカラスザンショウの木だ。2本の太い幹の下部が線路を跨いでいて、その下をくぐるのだが、野太い根を伸ばして聳える姿は力強い。廃線後に生えた樹齢40年以下の樹木でその生命力には圧倒される。

線路を跨ぐカラスザンショウ巨木と、その先急カーブする線路。このような廃線風景は珍しい(写真提供:倉吉観光MICE協会)

倉吉線唯一の山守トンネルに入れるイベントは大人気

 さらに先を進むと、倉吉線唯一のトンネル・山守トンネルが見えてくる。トンネル手前の擁壁が切り通しの急な傾斜を感じさせる。

竹林の先に姿を見せた倉吉線唯一のトンネル・山守トンネル(筆者撮影)

 1958(昭和33)年の延伸で完成したコンクリート製のトンネルは入口が経年で苔むしている。長さは107mと短く、中でカーブしている。グレーの“蓋”のような鋼製シャッターで頑丈に閉ざされ、普段は内部に入ることはできない。

シャッターで閉じられた山守トンネル。左は崖地で石積みの擁壁がそれを物語る(筆者撮影)

 しかし、倉吉観光MICE協会主催の「ウォーキングオープンデー」(原則4~11月の間、月1回程度開催、各回定員50名)などのイベントや団体ウォーキングツアー申し込みの時のみ、“蓋”に設けたドアの鍵が開き、トンネル内に入ることができる。

 このイベントは大変人気があり、年内開催分は満席とのことだ。今回の取材で特別に中に入らせていただいた。