廃線跡には桜並木のサイクリングロードも

 廃線散策にもってこいなのが、一般社団法人・倉吉観光MICE協会の営業マネージャー・塩川修氏が監修した「旧国鉄倉吉線跡路線図」だ。学生時代からの鉄道ファンでもある塩川氏の倉吉線への思いがこもった路線図上には、ナンバーの振られた写真が豊富に掲載されてわかりやすい。

 倉吉線の廃線跡で線路が残るのは終点の山守駅の手前、関金駅と泰久寺(たいきゅうじ)駅の中間点から山守トンネル手前までの約3km(および山守駅近くの一部)のみ。倉吉駅からしばらくの間は散策路や車道となっており、廃線跡を感じさせるロケーションは少ない。

 しかし、途中の打吹駅のあった場所には倉吉線鉄道記念館(年中無休)があり、当時の貴重な写真の数々や貨物入替用に活躍した小型ディーゼル機関車も展示されている。打吹は倉吉のまちの中心にあたり、見事な白壁土蔵群も残り、名湯・三朝温泉へも近い。

館内には貨車移動用に活躍したディーゼル機関車が静態保存されている(筆者撮影)
打吹駅のあった倉吉の中心部には白壁土蔵群や蔵を活用したカフェなどもある(筆者撮影)

 倉吉線は小鴨川を渡ると、のどかな風景となり、西倉吉駅から上小鴨駅の2駅間の廃線跡は現在、桜並木に沿った3.9kmのサイクリングロードとして整備されている。天候に恵まれれば大山を望める気持ちのいいエリアだ。

倉吉線の中間あたり、西倉吉~上小鴨間の廃線跡は約3.9kmにわたる桜並木のサイクリングロードに(筆者撮影)

 また、西倉吉駅跡には当時のレールとホームがモニュメントとして一部保存されている。車だと平坦に感じるが、倉吉線は徐々に中国山地に向けて勾配を上り、途中1000分の25(1kmで25m上る)の急勾配が2か所あったという。

西倉吉駅跡に残るレールモニュメント。当時のホームも一部保存されている(筆者撮影)