~ 中小企業の今とこれからを描く ~
日本政策金融公庫総合研究所では、中小企業の今とこれからの姿をさまざまな角度から追うことで、社会の課題解決の手がかりを得ようとしています。最新の調査結果を、当研究所の研究員が交代で紹介していきます。今回のテーマは地方における副業・兼業人材の活用です。
(桑本香梨・青木遥:日本政策金融公庫総合研究所)
人手不足が中小企業の成長の妨げに
コロナ禍で滞留していた経済が動きつつあるなか、再び頭をもたげてきた問題が、人手不足である。
当研究所「全国中小企業動向調査(中小企業編)」をみると、経営上最も大きな問題として「求人難」を挙げる中小企業の割合は上昇している。2020年4-6月期は10.8%だったが、直近の2024年4-6月期には26.3%となっている(図1)。
DXや海外展開といった成長のための新しい取り組みでも、人手不足がネックになっている。例えば、海外展開の予定や関心がある企業がこれまで海外展開してこなかった最大の理由は、「人材がいない」(53.1%)である(当研究所「中小企業の海外展開と国内回帰に関する調査」、表1)。
一から従業員を教育する余裕が少ない中小企業は特に、一定のスキルを備えた人材を採用したいところである。しかし、高度なスキルをもつ人材は大企業からも引く手あまたで、獲得が難しい。
さらに、地方の中小企業の場合は、人口の都市部集中という問題も抱えている。
そこで解決策として考えたいのが、都市部人材による地方での副業・兼業である。
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