亡くなった野崎幸助氏と須藤早貴被告(撮影:吉田 隆)
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「早貴を見たのは5年ぶりだからねぇ。ワシが想像していたのとすっかり変わってしまったのでホンマに驚いた。マスクをしていたから表情を全部見ることできなかったけど、肌はずいぶん白くなって、しかも痩せてしまっていて……。なんか病的な感じがしたね。足なんてワシの腕ぐらいの細さなんだから」

「紀州のドン・ファン殺人事件」の裁判に、10月15日に証人として出廷した「アプリコ」の番頭、通称“マコやん”が、感慨深げに語った。

貸金業から酒類販売業にシフト

「紀州のドン・ファン殺人事件」の裁判は和歌山地裁で9月から11月まで計25回の公判が予定されており、約30人の証人が出廷することになっている。判決は12月12日に下りる予定だ。

 事件が起きたのは2018年5月24日。「紀州のドン・ファン」こと資産家の野崎幸助氏が、和歌山県田辺市の自宅2階の寝室で遺体となって発見された(享年77)。死因は覚醒剤の大量摂取によるものだった。

 数十億円と言われる資産を持ち、そのカネを多くの美女を抱くために使ってきたと公言してメディアにもたびたび取り上げられ、55歳年下の早貴被告(28)とその年の2月8日に入籍したばかりだった野崎氏の怪死事件は、大々的に報道された。

 野崎氏はかつてJR東京駅周辺を舞台に貸金業を営み財を成した。だが、貸金業の上限金利が国の政策で引き下げられたのを機に廃業。その後は地元・和歌山県田辺市で酒類販売業「アプリコ」の経営をメインの仕事にしていた。

 アプリコの全従業員は6人(男性5人、女性1人)だけだが、倉庫や大きな駐車場、運搬用のトラックもあり、朝5時から夕方6時まで従業員は熱心に働いていて経営は安定していた。地元では給料がよい会社として有名で、入社希望者も少なくかった。ただ、ワンマンで個性的な性格の野崎氏に馴染めず、辞めていく者も少なくなかったという。