亡くなった野崎幸助氏と須藤早貴被告(撮影:吉田 隆)
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早貴被告から“資金援助”を受けたという中年女性

 和歌山地裁で開かれている「紀州のドン・ファン殺害事件」は10月10日に第11回公判が開かれた。傍聴を希望する人間にとって、実際に公判に出向いて裁判が始まってみないと、その日にどのような証人が出廷するのか分からない。

 この日、まず午前中に登場したのは、「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏が会員となっていた東京・銀座の交際クラブの社長だった。その社長は、野崎氏が死亡した18年5月24日の夕方に電話で話したことを明らかにし、

「イブ(野崎氏の愛犬)の偲ぶ会を6月11日にするので参加して欲しいと言われた。元気そうで、自殺を考えているようには思えなかった」

 と証言した。検察は、だから野崎氏が覚醒剤を服用して自殺することなどあり得ない、と主張した。

自宅寝室でくつろぐ「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏(故人)と愛犬イブ。野崎氏はこのソファで亡くなっていた(撮影:吉田 隆)
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 次いで午後に「ビデオ・リンク方式」、つまりオンラインで出廷したのは、ある女性だった。傍聴人からは姿・形は判明しないが、声の様子から中年の女性であることが推測できた。

 そして、この女性は法廷で、早貴被告から資金援助を受けたこと、そしてその後に早貴被告から返済を求められたことを明らかにした。検察側からの補足説明がないので、傍聴席の記者たちはその証言が持つ意味がいまひとつわからず、困惑しているようだった。

 この件について取材を進めると意外な事実が判明した。