自宅寝室でくつろぐ「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏(故人)と愛犬イブ。野崎氏はこのソファで亡くなっていた(撮影:吉田 隆)
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「紀州のドン・ファン殺人事件」で注目を集めていた証人はついに裁判に出廷しなかった。というより「できなかった」というのが真実に近いだろう。10月8日の第10回公判に“彼女”の姿は無かった。

「証人とは事件の現場にいて遺体を発見した早貴被告と一緒にいた“お手伝いさん”です。事件を知るキーマンだということで、各社とも彼女に取材をしたかったのですが、どうしても連絡が取れなかった。それでも、他社に抜かれるような事態も起きなかったので、そこは一安心でしたが……。

 だから裁判に出廷したらそのときにインタビューをしようと思っていたのですが、出廷しなかったのは残念でした」(司法担当記者)

 10月8日、公判では彼女の“供述調書”が読み上げられた――。

2018年5月25日、「紀州のドン・ファン」野崎幸助氏が急死した翌日の夜、和歌山県警の刑事に妻だった須藤早貴被告(左)が任意同行を求められた瞬間。中央がお手伝いの大下さん(写真:吉田 隆)*写真は一部加工しています
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ドン・ファンの資産、一説には30億円

 検察が読み上げた調書によれば、野崎氏は早貴被告が添い寝をしてくれないことなどに不満を抱いていた。そこで野崎氏は結婚早々の早貴被告に離婚届を突き付け「お前とは離婚だ」「悔しかったら破いてみろ」と迫ったことがあったという。

 またお手伝いさんは「(野崎氏が)死んだら遺産もらえる?」と早貴被告から聞かれたことがあったということで、「遺産目当てで社長に近づいたのではないかと思った」とも供述していた。

 11月まで25回にもわたる予定で和歌山地裁で開かれている「紀州のドン・ファン殺人事件」裁判だが、まずは事件のことをおさらいしてみよう。