「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏(右)と早貴被告(撮影:吉田 隆)

 9月2日、和歌山地裁で「紀州のドン・ファン」の元妻・須藤早貴被告が訴えられた裁判で判決が下った。

 この裁判、2018年5月に紀州のドン・ファンこと和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助氏(享年77)が自宅寝室で遺体となって発見された事件とは“別件”だ。こちらでも早貴被告が21年4月に殺人容疑で逮捕・起訴されているが、裁判は、逮捕・起訴から3年半も経った今月12日からようやく和歌山地裁で始まることになっている。

 一方、今回判決が下ったのは、野崎氏と知り合う前の早貴被告が、2015年~16年にかけて別の男性からカネを騙し取ったとする事件で、早貴被告が生まれ育った北海道札幌市を舞台としたものだ。

「嘘と知っていてお金をくれた」

 当時、美容学校の学生だった早貴被告は、札幌の歓楽地すすきののキャバクラでアルバイトをしていた。そこで出会った当時61歳で元銀行員のM氏から約3000万円を騙し取ったとして、罪に問われていたものである。

「親族が亡くなり多額の遺産を手にしたM氏はキャバクラ巡りを始めたそうです。そこで早貴被告と出会いました。彼は他の複数のキャバクラ嬢にも粉をかけていましたが、早貴被告には、投資信託を解約して金を工面してやるほどメロメロでした。

 M氏は早貴被告を市内のタワーマンションに囲い、学費や小遣いなどの面倒もみていてキャバクラ勤めを辞めさせました。そのうえで『カットモデルの髪や皮膚を傷つけてしまった』などと彼女のウソ話に同情してその慰謝料を肩代わりしてやったり、やはり嘘の留学話を信じてその費用を立て替えてやったりと、計3000万円ほどを早貴被告に渡していたのです。

 その後、M氏は妻にこのことがバレて叱責を受け、早貴被告とは一時期、没交渉になりましたが、『海外留学から彼女が帰国してきたらお金を返済してくれるだろう』と信じ込んでいたそうです」(大手紙・司法担当デスク)