3月4日、万博会場を視察した日本維新の会の馬場伸幸代表(写真:共同通信社)

 前回記事で、長崎県の日本維新の会に所属していた地方議員が相次ぎ離党した事例を紹介したが、今回は和歌山県での同様の事案を振り返ってみよう。

(前回記事)「立憲全勝」の衆院補選、「惨敗」自民党と並んで大ダメージを受けた維新の会

寝耳に水の「離党勧告」

 日本維新の会は、「身を切る改革」として、所属議員に対し、議員報酬の一定割合を被災地などへ寄付することを求めている。昨年10月10日、この党の方針に従わなかったとして、日本維新の会の和歌山県総支部は、林隆一県議(和歌山市選出、2期目)に対し、離党勧告することを決めた。

 同月25日、林隆一県議が和歌山市で「反論」の記者会見を開いた。

 1期目の任期中には寄付が難しかった林議員は、2期目を狙う昨年4月の選挙前の公認申請時に、当時の総支部幹事長に対して寄付が2期目の選挙後になることを報告し、了解を得ていたという。その結果、党の公認を受け、県議選でも勝利。そして約束通り、再選後の6月に前任期分として、和歌山県内で台風の被害を受けた紀美野町に支援金として500万円を寄付したという。

 ところが、総支部は11月10日に開いた「党紀委員会」において、1期目の任期中に寄付していなかったことを問題視し、林議員の離職勧告処分を決めてしまった。林議員は異議を申し立てたが、退けられたという。

 林議員は会見で、決められた割合を寄付していない議員が他にいるのに処分対象にはなっていないともいい「平等性に欠ける」と指摘。「特定の党員を狙い撃ちにした処分で、相当性が欠け無効だ。邪魔だから処分するというのは到底納得できる話ではない」と訴えた。

 だが党が方針を変えることはなく、結局林議員は、11月27日までに離党しない場合は除名すると党から通告されていたため、関係者と協議の末、離党に至った。