では、M氏は早貴被告をいわゆる愛人のように扱っていたのかと言えば、どうやらそうではないらしい。一緒にカラオケに行ったことがあるのは法廷で明らかになったが、いわゆる「肉体関係」にはどうやら至っていなかったようだ。
それは、ほかならぬ早貴被告の弁護人の追及で明らかになった。
身体の関係は「ありません」
「彼女とセックスをしていないんですか?」
第2回公判でそうM氏に尋ねたのは早貴被告の弁護人だった。この事件の行方を追ううえで極めて大事なポイントだと思われるが、この重要な質問について報道で触れた新聞やテレビはない。
弁護側がこの質問をしたのは、M氏は早貴被告の身体目当てで近づいたのだから、M氏からカネを受け取っていたとしても詐欺には当たらない、という方向にもっていきたかったからだろう。
だがM氏の答えは明確だった。
「していません。一度も」
肉体関係を完璧に否定したのである。それを受けて、弁護人は執拗に質問を重ねた。3000万円も用立てしていて「一度もセックスをしたことがない」という答えが返ってくるとは弁護人も想定していなかったのかも知れない。
「では、キスはしましたか?」
「キスもしていません」
「そんなことはないでしょう」
弁護人が突っ込んだ。