「清楚で純粋な女性だと思っていたのに…」

 それまでの公判の中で、早貴被告の印象を聞かれたM氏は、「清楚で純粋な女性だと思っていた」と答えている。

 M氏が自分は早貴被告に騙されていたのを知ったのは、和歌山県警の捜査員から接触があったのがきっかけだった。ドン・ファン殺人事件の捜査で札幌に出向いた捜査員が早貴被告の銀行通帳を洗っている中でM氏からの多額の振り込みに気が付き、M氏と接触を図ったのだ。

 そこで早貴被告の噓を知った時の心情についてM氏は「絶句。声も出なかった」と振り返り、被告への処罰感情をあらわにしていた。

 M氏と出会った2014年当時、早貴被告は、札幌市内の美容専門学校に通いながらキャバクラに勤務していた。14年秋に客だったM氏と知り合う。

「紀州のドン・ファン」野崎幸助氏に笑顔で寄り添う須藤早貴被告(撮影:吉田隆)

 早貴被告はM氏に「家族が美容学校に通うことに反対していて学費も払ってくれない」などと嘘をつき、これに同情したM氏は学費を援助することを約束、月15万円を用立てしてやり、キャバクラの仕事を辞めるようにアドバイスした。

 また札幌北区に実家がある被告は、M氏からの援助してもらったお金で市内中心部の家賃11万1000円のタワマンで一人暮らしを始める。さらにM氏は、海外留学したいという被告の嘘にも応じて資金援助した。