証人28人、異例の裁判
12月12日、日本中の注目を集めていた「紀州のドン・ファン殺害事件」の初公判で和歌山地裁は、夫である資産家・野崎幸助氏殺害の罪に問われた元妻・須藤早貴被告に対して「無罪」を言い渡した。それから12日後の24日、和歌山地検は判決を不服として大阪高裁に控訴した。
一審は裁判員裁判で裁かれたが、今後は大阪高裁で裁判官のみによって裁かれることになる。
果たして高裁ではどのような判決が下されるのか。検察に“勝ち目”はあるのか。法廷でも野崎氏との結婚を「遺産目当て」と堂々と語った早貴被告になぜ無罪判決が出たのか、裁判の過程を振り返りながら考察してみたい。
和歌山地裁での22回に及ぶ公判は28人もの証人が呼ばれる異例のものだった。公判に出廷した28人の証人のあらましと大まかな内容を確認しておこう(冒頭の数字は公判の回数)。
(1)9/12冒頭陳述
(2)9/17死亡直後に自宅に駆けつけた警官2人/早貴被告の札幌時代の友人たちとのメール、LINE
(3)9/18(早貴被告の)スマホ解析/県警の女性職員がヘルスケアアプリについて実験結果を説明
(4)9/19麻薬取締官/覚醒剤の説明
(5)9/24警察官/自宅以外からも覚醒剤反応が出ていた
(6)9/27解剖医/死亡推定時刻について
(7)10/1覚醒剤の売人Yが証言/早貴被告の母親と姉の陳述調書
(8)10/3ミス・ワールド証人/スマホアプリ「ヘルスケア」の解説
(9)10/7お手伝いの大下さん(仮名)の妹の証言
(10)10/8大下さんの供述調書/法医学教授
(11)10/10交際クラブ社長/早貴被告から資金提供された“ドラ子”さん
(12)10/11アプリコ経理担当S
(13)10/15アプリコ番頭「マコやん」
(14)10/17前妻Cさん
(15)10/21大阪の愛人「菜々ちゃん」/カプセル専門家
(16)10/24アプリコ従業員M/大下さんの妹宅で会った保険外交員
(17)10/28大下さんの娘、大下さんの病状について/アプリコ従業員K
(18)11/7覚醒剤の売人Xが証言「氷砂糖だった」
この後、11月8、11、15日に被告人尋問が行われ、弁護側・検察側・裁判所側からの質問が行われた。そして最後に判決が言い渡された、という流れだ。