「紀州のドン・ファン殺人事件」の裁判で殺人の罪に問われている須藤早貴被告(撮影:吉田 隆)
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いよいよ判決

「求刑は無期懲役」

 その瞬間に廷内にいた記者たちは裁判所の外で待機していたテレビクルーの所に一斉に走り出した。11月18日、和歌山地裁で開かれていた「紀州のドン・ファン殺害事件」の初公判で論告求刑が行われた。検察側の求刑は「無期懲役」、そして弁護側は改めて「無罪」を主張した。

 注目の判決が下される日が、12月12日に迫っている。

 2018年5月24日夜、和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助氏が自宅2階の寝室で怪死しているところを、55歳年下の妻の早貴被告によって発見された。当時この家にいたのは早貴被告の他には家政婦の大下さん(仮名)の2人だけ。自宅を出入りする者がいなかったことは防犯カメラの映像によって明らかにされている。しかも15時過ぎから20時まで大下さんは外出しており、その間、自宅には早貴被告と野崎社長の2人しかいなかったことになる。

 司法解剖された死因は2日後に判明。覚醒剤の多量摂取であり、口から何らかの方法で飲み込んだとされている。

 その直後から、元妻の須藤早貴被告を犯人視する報道が一斉になされたが、和歌山県警が早貴被告を殺人などの疑いで逮捕したのは、野崎氏が亡くなってから3年後の21年4月のことだった。逮捕までに時間がかかったのは、それだけ早貴被告の犯行を裏付ける証拠集めに時間がかかったことを物語っている。

2017年12月、和歌山県田辺市にある野崎幸助氏の自宅を初めて訪れたときの早貴被告(撮影:吉田 隆)
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