「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏(右)と須藤早貴被告(撮影:吉田 隆)
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 10月3日に和歌山地裁で「紀州のドン・ファン殺人事件」の第8回公判が開かれた。公判では、その日に誰が証人となって出廷するのか公表していないので、傍聴人は法廷まで出向いてみないと誰が登場するのか分からない。

 この日、証人として法廷に登場したのは亡くなる直前に野崎幸助氏と3回食事を共にした“知人女性”だった。証人がいる別室と法廷をオンラインでつなぐ「ビデオリンク方式」で行われため、傍聴人には女性の姿かたちは見えないようになっていた。

 実は野崎さんは生前、この女性のことを「ミス・ワールド」と呼んでいた。というのも彼女は、ミス・ワールド世界大会の日本代表最終予選に出場した過去があったからだ。それほどの美女である彼女を、野崎氏はことのほか気に入っていた。

破り捨てられた離婚届

 野崎氏と「ミス・ワールド」が初めて会ったのは、2018年4月27日、東京都内でのことだったという。

 つまりその年の2月8日に須藤早貴被告と入籍してまだ3カ月弱の時点である。このころすでに野崎氏は妻の早貴被告に対する不満を募らせていた。

 結婚後は早貴被告が借りていた東京・新宿の自宅マンションを引き払い、和歌山県田辺市の自宅で一緒に暮らすハズだったのに、早貴被告はいろいろと理由を付けて田辺市で同居しようとしなかった。また早貴被告の野崎氏に対する接し方などにも不満があった。

 業を煮やした野崎氏は、入籍直後の3月にはもう早貴被告に対し離婚届を渡している。妻の欄だけが空白になっている離婚届を受け取った早貴被告は、野崎氏の目の前でビリビリと破いたのだと、後に笑いながら周囲の者に伝えている。

「せっかく結婚してあげたのに、離婚するなんて」とでも思っていたのだろうか。

 いや、事実はもっと恐ろしいのかもしれない。この公判の過程で検察側は、当時から早貴被告が「完全犯罪」や「老人死亡」などのワードでネット検索をしていたことを明らかにしている。